[問 1] 水力発電所を建設する場合、 一般に落差、 使用水量が決まれば水車の型式を選定し、 出力、 比速度の限界内で極数や水車発電機の回転数を決めることになる. これに関する次の問に答えよ.
(1) 有効落差と使用水量から採用が適当と考えられている水車の型式を図にしている. 図中のA、 B及びCの空欄に当てはまる水車の型式を答えよ.
(2) 比速度とはどのようなものか簡潔に説明せよ.
(3) 水車発電機の回転数を高くとる場合の長所と短所を、 それぞれ二つずつ挙げて説明せよ.
(4) 比速度の限界値で求めた極数が8.6と算出された場合、 経済性も考慮して採用する極数は8、 9、 10のいずれとするべきか、 極数を答えてその理由を説明せよ.
[解答]
(1)A:ペルトン、 B:フランシス、 C:プロペラ
(3)長所
①水車、発電機を小型化できる
②発電所建屋も小さくできる
短所
①回転子の強度に問題
②キャビテーション発生の問題
(4)極数8.6の時の回転数が限界なので8.6より小さくはできない、かつ極数は偶数ででなければならない。よって、極数は10、12、14、・・・・。経済性を考慮して極数は10。
[問 6]
図のように、 66 [kV] 送電線路の中間及び末端に需要家が接続された系統がある. このうち A 需要家の受変電設備における地絡保護について、 次の問に答えよ. ただし、 A 需要家及び B需要家には発電設備がないものとする.
(1) A 需要家の地絡検出方式として、 変流器 (CT) の残留回路を利用する場合、 CT の選定に当たって留意すべき点を二つ挙げよ.
(2) 図に示す A 需要家の箇所で 1 線地絡事故が発生した場合、 供給変電所送電端の地絡過電流リレーの整定値を一次換算電流 30 [A]、 地絡検出から送電用遮断器 CB1 遮断までの時間を 1.0 秒とした場合の A 需要家の地絡過電流リレーの整定タップ値及び動作時限を求めよ. ただし、 次の条件によることとする.
供給変電所の遮断器 CB1 の遮断時間 : 0.1秒
A 需要家の遮断器 CB3 の遮断時間 : 0.1秒
A 需要家の CT の変流比 : 100/5 [A]
完全地絡電流 : 100 [A]
地絡検出動作電流値 : 完全地絡電流の 30 [%]
リレー動作を確実にするための係数 : 1.5
供給変電所の遮断器 CB1 のシリーストリップ回避のための余裕時間 : 0.3 秒
A 需要家の地絡過電流リレーのタップ値 : 0.5 [A]、 0.7 [A]、 1.0 [A]、 1.4 [A]、 及び 2.0 [A]
[解答]
(1) ①CTの特性を同じにする。そうしないと地絡がない正常なときでも残留電流が流れて誤作動をまねく。
②CTの変流比が大きい場合、三次巻線付CTを検討する。CTの変流比が大きいと残留電流が小さく誤不作動の原因になるから。
参考図
(2) 整定タップ値: 1.0 [A]
A需要家の地絡検出動作電流は
100 [A] x 30 [%] x (1/1.5[係数]) = 20 [A]
そして、変流比を考えると
20 [A] x (5/100) = 1 [A]
動作時限: 0.5 [秒]
CB1遮断1.0秒より早くCB3を遮断すれば良い。
1.0 ー (0.1 + 0.1 + 0.3) = 0.5 [秒]